先日、ベルリン国際映画祭にて最優秀新人作品賞を受賞した熊坂出(いづる)監督の監督作「パーク アンド ラブホテル」の試写会に招いて頂き観てきました。ベルリン映画祭の最優秀新人作品賞は部門問わず優れた長編デビュー作に贈られるもので、日本人としては熊坂監督が初の受賞だそう!
先日、監督やキャストの方々で受賞記念記者会見が行われていましたが、知らせを聞いた瞬間の心境について語った熊坂監督のコメントが印象的でした。
知らせを聞いて、嬉しくはあったが、我を忘れるほど喜びが爆発したという感じではなかったとのこと。
というのも、
「もちろん世間の評価も大切ですが、自分の評価が一番大事だと思ってますから。電話で知らせを受けたときも周囲を見渡して“街や人々は何も変わってない。浮かれるんじゃないぞ”と自分に言い聞かせながら、また街の写真を撮りました」とのこと。
実際映画を観てみると、受賞も納得。長編デビュー作とは思えない、味わい深くて粋な映画でした。
主演は女性シンガーソングライターの草分けとも言われるりりィさん他、同世代から絶大な支持を得ているちはるさん、神農幸さんなどが出演しています。
主人公は初老の女性、艶子。さびれたラブホテルのオーナー。その彼女が経営するホテルの屋上には、なぜか小さな公園が。そこに子供から老人まで多世代の人達が自由に訪れ、おのおの好きなようにくつろぎ、日が暮れる前に帰っていきます。
多くを語らない秘密めいた艶子と、そこを訪れた美香、月、マリカ、3人の孤独な女性達。彼女達の静かな心のふれあいが描かれています。
艶子と3人の女性、それぞれ抱えた孤独のかけらを見つめつつも、次第に彼女達の明日が今日よりほんのりと優しくて温かい日になるように思える。そんな不思議なパワーを感じられる映画なのです。
また、斬新な脚本も、不思議な空気感を醸し出す独特な人物設定も素晴らしかったと思います。劇中でも心に残る印象的な台詞が度々ありました。
さらに、艶子を演じたりりィさんの存在感もそうですが、もの悲しい表情を浮かべる横顔が時に言葉よりも印象的で。また、それが観る人に伝わってくる絶妙なカメラワークでした。
熊坂監督の次回作も思わず期待してしまう、素敵な映画でした。
好きです。こういう映画。
(c)PFFパートナーズ
4月26日(土)より ユーロスペース他、順次各地でロードショー
公式HP
評価:★★★★☆
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