2008/03/01

「ゆれる」

非常に素晴らしい映画でした!

釘付けにする物語の展開、脚本や演出の完成度といった監督の才能に驚き、兄役を演じた香川照之さんの演技に圧倒され・・・。
映画そのものの感動だけでなく、いい驚きがたくさん詰まってました。
そして「ゆれる」というシンプルなタイトルが映画を、2人の兄弟の心の奥底を、本当に良く表していて。

原案、脚本、監督と担当した女性監督の西川美和さんは2006年の公開当時、31~32歳でした
正直、女性がこのような男兄弟の深い物語を作り出したことも、この「ゆれる」が長編映画2作目ということも、信じられません。
西川監督は「ゆれる」の着想について、ご自身が見た夢をヒントにしたといいます。

物語の主要人物は2人の兄弟と幼馴染の女性。兄を香川照之さん、弟をオダギリジョーさんが演じています。
正反対のタイプである兄と弟。弟の猛は東京で写真家として成功。自由に生きている。兄の稔は実家で父と暮らし、真面目で周囲にも優しく、ガソリンスタンドで勤勉に働いている。
母の一周忌で久しぶりに帰郷した猛は、兄と幼なじみの智恵子と3人で渓谷へ。そこは兄弟にとっても懐かしい場所だった。
しかし、その渓谷で事件は起きた。稔と智恵子が渡っていた吊り橋から、智恵子が激流の渓流へ転落し、亡くなってしまったのだ。
事故なのか、事件なのか。
裁判が進む中、稔は猛がこれまで見たことのないような一面を見せ始め・・・

先述した香川照之さんは兄・稔の根深い闇を表現し、極限の心境を本当に素晴らしく演じていました。まさに人の心を震わせる名演、今も脳裏に焼きついています。
この映画の感動に無くてはならない存在だったのではないでしょうか。

「Movie Walker」のインタビューで香川照之さんが答えていた言葉の中に印象的なものがありました。
「僕も、稔のような人間だから常に演じているんですよ。みんなから好かれたいという小さな幸せのためには、嘘も必要だし、本心を全部言うことはできない。
だから、逆に役を演じる時は演じていないんですね。役を通して、僕の本心を引きずりだし、僕自身と繋がること。それが僕にとっての演じることなんです
恥ずかしい事だし、辛い事だし、挑戦だけどね」


せき止めていたものがあふれ出す、この映画でその瞬間を幾度か見せられます。
人と人の関係性がいかに儚いものなのか。関係性いかんで、人の行動はいくらでも変化してしまうし、その行動がまた心を壊すこともあります。
そこが恐ろしさでもあり、反面、希望を見出せることでもあるのかもしれません。

最後に、、、
この映画の最後の数秒間は見逃さないで下さい。必見です。



評価:★★★★★


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(C)2006「ゆれる」製作委員会

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