2008/04/30

「あの子を探して」

 「初恋の来た道」「HERO」「LOVERS」など数々のヒット作を監督した中国映画界の巨匠・チャン・イーモウ監督。
そのチャン・イーモウ監督の1999年の監督作で、監督がこの映画で二度目のベネツィア映画祭のグランプリを受賞した作品でもあります。

 物語は田舎のとある小学校の代用教員になった少女ウェイ、まだ13歳の女の子が主人公。
生徒が一人も辞めなければ報奨金をもらえるということから、必死に見張るウェイ。 
そんなある日に、クラスで一番やんちゃなチャンが、出稼ぎに行った町で迷子になってしまう。
彼を探すために、ウェイは一人で探しに町へ向かったけれど・・・といったお話。

 演じる子供達は演技経験の無い子供達。村長や先生の役、テレビ番組の司会者も実際にその職業で働く人々。子供達の演出も、誰にも脚本を読ませることはしなかったそう。決めたセリフを言わせるのでは自然な表情を引き出せないから、彼ら彼女らに問いかけ、その答えと同じ様に演じさせたといいます。

 また撮影の裏話としてこんな話もあったそう。
やんちゃな少年チャンが、たまたま見たテレビ番組でウェイ先生が涙ながらに自分を探していることを話すのを見て、涙を流すシーンの撮影、 
そこを監督やスタッフ達は、チャン少年が本当に泣く状況を作って、その自然な姿を撮ろうと試みました。彼の目にたまった涙がこぼれ落ちる瞬間を撮るべく、テレビ番組の代わりに、撮影で離れていてしばらく会えていない仲良しの妹のメッセージ映像を流したそう。
その映像の途中、妹が「お兄ちゃんに会いたい」と言ってわんわんと泣き出すところで、きっと彼も泣き出すに違いないと見込んでいたスタッフ陣。しかしチャン少年は妹の姿が映るやいなや、わーっと泣き出してしまい、泣き出す瞬間にはカメラの準備が間に合わなかったそうです。
 なんとも微笑ましいエピソードでした。
 
 そうした演出の苦労によって引き出された嘘のない笑顔や困った顔、泣き顔、しぐさ、それらには有無を言わせず、心に染みてくるものがありました。

素朴で温かみのあるいい映画です。

評価:★★★☆☆(3.5)

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