
しかも舞台挨拶付き!
この映画はカナダの監督、クロード・ガニオン監督が日本を舞台に日本の伝統文化である陶芸、かつ今では数少なくなった日本古来の陶器を焼く過程「窯焚」を題材にした異色の作品。
モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞、観客賞など史上初の5冠に輝いた映画なのです!
日系カナダ人青年のケンは父の死によって、人生そのものに意欲を失い、自殺未遂までしてしまった。母親のはからいで叔父である著名な陶芸家・琢磨の元でしばらく過ごす事に。
信楽の町で琢磨の奔放さや人間としての魅力に触れながら、次第に心を開いていく。そして「窯焚」に挑むケンの心にはそれまでには無い感情が芽生えていく・・・。
この映画の中で行われる「穴窯」という窯を使っての窯焚という行程は今はその過酷さから随分少なくなってしまったとのこと。日本特有の文化でもあり、古代技術の最高峰とも言われるそうです。
約10日に渡って、昼夜寝ずに約7分おきに薪をくべ、穴釜を1300度以上の高温に保つ事も要求されます。人工的なうわぐすりを使わずに焼くその手法によって、独特の風合いや美しさを見せるとのこと。
実際、映画の中で映し出される作品の一つ一つも吸い寄せられるほどに素晴らしく美しいものでした。
陶芸家・琢磨を演じる藤竜也さんは実は陶芸が趣味で10年以上もやってきたとのこと。また驚くべき事に実はガニオン監督はそれを知らずに藤竜也さんにこの役をオファーをしたそうなんです。(びっくり!かつなんだか運命的!)
クロード・ガニオン監督は約1年に渡り、舞台になった信楽に住み、世界的陶芸家・神崎紫峰さんの穴窯で、実際に約10日に渡る窯焚の作業に参加。その窯焚の行程はもちろん、その前の窯入れから、窯開きなど一連の作業、また信楽の町など様々な事を勉強したようです。
並々ならぬその情熱がスクリーンを通して伝わりました。
また映画で見られる美しい陶器のほとんどは神崎さんの作品とのこと。
「穴窯」という普段見る事のできない窯で陶器を焼くその行程を、物語を通して見られたことも非常に貴重な経験で、とても興味深いものでした。
周囲のあるがままを受け入れる琢磨の自然体な生き方、窯焚の炎、ケンの心の中を駆ける様々な変化を観ていく中で、浄化されるような穏やかな気持ちと炎に象徴される激しい熱、相反するような二つの気持ちが自分自身にもやって来る・・・そんな何とも言えない独特の魅力に溢れた映画でした。
映画の中で琢磨が「杯を空にしなさい」と語るシーンは、いつまでも心に残るシーンでした。

公式HP 新宿バルト9で2/23より公開。全国で順次ロードショー。
評価:★★★★☆
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