ジャック・ニコルソンがかなり若い!(当たり前ですが)。
イギリスのジャーナリストであ る、主人公ディビッドが取材で訪れていた北アフリカのホテルである男性と知り合う。
ある日その男性が部屋で突然死をしているのを見つけたディビッドは、自分と彼が顔が似ている事から「自分」を捨て、その男性に成り変って生きていく事にするのです。その彼の関わっている仕事により、ある種逃避行の様な旅に なっていくロードムービーなのですが、バルセロナである少女と出会い、さらに2人での逃避行の旅となっていきます。
身の危険を感じながら、亡くなったとは信じていない妻からの逃亡、表向きはそうなのですが、結局は本当の自分からは逃れられない現実からの逃亡なのです。
この映画、音楽をほとんど使っていません。どこまでも続く砂漠のシーンやホテルにいるシーン、かえってその慣れない静けさが新鮮でした。そして少女役のマリア・シュナイダーの不思議な魅力がとっても活きてる!
カメラワークもこの映画の魅力のひとつで、最後には7分間ノーカットの名シー ン。そして対照的な2つの短いセリフ。
ラストの10数分は近頃の映画にはそうそうないもので、とても静かながら忘れがたい時間となりました。
静かで静かで余計な付け足しも、激しい感情の動きもない、セリフも少ない、潔い映画。よほどの自信がなければ作れないんじゃないか、と思いました。
映画の中で、ディビッドが祈祷師にインタビューするシーンがあります。その祈祷師が言う言葉が非常に印象的。
『君は私の答えから学ぶ事はできない、…我々が語り合えるのは君が素直に物事を受け止め、私が君のその誠意を信じる時だ』と。
評価:★★★☆☆
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