
私とケン・ローチ監督の出会いもその時のこの映画。この映画を見て、とても惹きつけられてしまい、数日後に別の作品も見に行ってしまいました。映画館でこの映画を見られたのはとてもラッキーでした。
いつもケン・ローチ監督は労働者階級の人々など、けして裕福ではなく、生活や周囲の環境が苦しくても懸命に生きている、つつましく頑張っている人々を、 優しく、とても近い目線で照らし出してくれます。
とてもチクチクと痛む、救いようのない悲しみを描いていても、その「現実」をしっかりと伝えようという心が伝わってくるからなのか、「人」そのものに対する愛情が伝わってくるからなのでしょうか。しっかり心に届いて、留まってしまうんです。
物語の主人公はビリーという少年。粗暴な兄にいびられ、学校でも先生に怒鳴られ、友達からも馬鹿にされている日々。少しひねくれたこのビリーがある日ハヤブサの雛を見つけ、連れて帰ります。
ハヤブサは人になつかないので、飼いならす事は無理に等しいのですが、ビリーはそのハヤブサとたわむれ、餌付する事に夢中になっていきます。
その様はまるで実在する少年がそこにいて、それを見守っているような錯覚に陥るほど、リアルです。
映画の中で、ビリーがクラスメートの前でケスを餌付けしていく過程を興奮しながら語るシーンが忘れ難く、大好きです。
そのケスとの時間はビリーにとって唯一自分を誇れる、素晴らしい時間なんですね。
ぜひ見て欲しい映画なので、ストーリーについて多くを語れませんが、 あらすじで楽しむという類の映画ではありません。観ているその時間というより、観終えた後からもじわじわと効いてくる映画。
イギリスでのこの映画の人気・評価はとても高く、余談ですがoasisのノエルも「悩んでいる時はいつ もこの映画(ケス)を思い出してしまう…」と言っているそうで。それほどこの映画が心に留まっているのでしょうね。
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