2008/01/14

「16歳の合衆国」

 米映画でマシュー・ライアン・ホーグ監督の商業映画デビュー作。ホーグ監督は28歳でこの映画の脚本、監督を務めた そう!!スバラシイ。
 主演はライアン・ゴズリング。ホーグ監督は少年院のような施設での2年間の教師の経験がきっかけでこの脚本を書いたそうです。
そこにいる少年達は 「モンスターの様な奴ら」ではなく、取り返しのつかない過ちをしてしまった、普通の子供達であったと。


 お話は16歳のリーランドが恋人だったベッキーの知的障害をもった弟をある日刺し殺してしまうところから始まります。彼はどうして殺したのか、その時の事は覚えていない。少年院で担任になった教師パールがリーランドに興味を持ち、作家を目指しているパールは彼を本の題材にしようと彼に話を聞いて いく・・・。

 
 この映画は少年の犯罪に的をしぼって描かれているのではなく、そこから波及する周囲の人々の感情や内面をとても繊細に描いています。リーランドは人一倍、周囲の「哀しみ」を感じ取ってしまい、それが辛くて何も感じないふりをしているとても繊細な少年なのです。
 
 映画の中でリーランドが語る言葉には静かながら鋭く突いてくる言葉がいくつもあります。
 
 人々の光と影、善と悪、強さと弱さ、愛と孤独。光を確認するための影。自分の悪や弱さを知っている者こその善や強さ。自分や相手の孤独を理解できるからこその愛。そういった相反する事柄は実はとても結びつきが強くて、片側を知れば知るほど、反するもう片側が深く実感させられてしまうんだろう、そんなことを考えさせられました。

 哀しみで溢れているけれど、だからこそ愛を感じる映画。 静かに、しかし気持ちの奥にぐっと近づいてくる繊細な映画です。ぜひ観てほしい映画の一つです。 

評価:★★★★☆



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