2008/01/27

「息子のまなざし」

この映画、静か。しかし重厚。
監督はダルデンヌ兄弟。2年前に二人が監督した「ある子供」でカンヌ映画祭でパルムドール大賞とりました。ベルギー・フランス合作。

 主人公のオリヴィエは職業訓練所で更生中の少年たちに木工の仕事を教えている。ある日、その訓練所にフランシスという少年が入所してくる。彼のクラスに入ることになったその少年は、実は、幼い自分の息子を殺した少年だったのだ。
オリヴィエはその事実を少年に伝えることなく、平然を装って教える。 そして少年は何も知らずに徐々にオリヴィエに心を開いていく・・・というようなお話。

映画のラストがすごく良いんです。見終わったあとからも感動がさらにじわじわ効いてくる感じ。
この映画、少年を受け入れられるか、られないか、というテーマではないんですね。きっと。

 主人公のオリヴィエも少年のフランシスもほとんど感情を激しく表に出さない分、こういう状況では人って説明できない感情に陥るんだろうな、と思いました。
こういう風に映画にしたのはかえってリアルさが際立ったようにも感じます。
ドラマティックにしようと思えば、とてつもなくドラマティックになってしまうシチュエーションだけれど、そうしてしまったら見えなくなりそうなものが、逆に際立ったんじゃないかなあと。

以前知人が「油絵よりも水墨画のような美に魅力を感じる」というようなことを言っていたけれど、「この映画ももしかしたら水墨画のような映画だろうか」なんてふと思いました。

監督2人が人間ってものにめちゃめちゃ向き合って、考えに考えて心の奥の気持ちを表そうとしたように感じたし、そして、そんな真摯な姿勢や作り方にも好感をもちました。

それと大きかったのは主人公を演じた俳優・オリヴィエ・グルメの演技。

なんとなく、私の好きな映画、「デカローグ」を思い起こす映画でした。
また見直したくなる映画。

評価:★★★★☆

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