2008/01/22

「バグダッドカフェ」

 パーシン・アドロンという監督の西ドイツ映画で20年近く前の作品なんですね。
 今見ても色褪せない。暖色の不思議な世界。
 「映画」にしか出せない空気感、特にこの映画は非日常的な、夢を見ているような世界に、ふわーっと連れて行ってくれました。ストーリーに入り込ませるという訳でないのに。希少な映画だと思いました。静かな衝撃と言うのは矛盾してるかもしれないけれど、そう感じました。他の映画にはない「バグダッドカフェ」だけの世界。
 
 ジャスミンというふくよかな女性が夫との旅行中に喧嘩別れして、砂漠のはずれのモーテル「バグダッドカフェ」にたどりつく。そのカフェの女主人 ブレンダは亭主を追い出したばかりでヒステリック。最初はジャスミンを怪しいものよばわり、勝手な行動に腹を立ててばかりいるけれど、バグダッドカフェにいる人々と共に徐々にその存在に癒され、心がほぐれていくのです。

 ブレンダが亭主を散々怒鳴り散らし、追い出した後に、放心状態の表情で涙を流しているシーンはとても印象的でした。素直になれないだけなんだと、彼女が最初から愛おしく思えてしまいました。そしてジャスミンが徐々に周りに安堵感を感じさせていくその数々のエピソードがまたよくて。
 
 ジャスミンが醸しだす包まれるような母性を感じる雰囲気と映画の空気感が本当によく合っていたと思います。この空気感を演出できたのは凄い事 じゃないでしょうか?本当に。
 そして、なくてはならないジュべッタ・スティールが歌う挿入歌「Calling You」が染みてきます。「映画と音楽がどうしても切り離せない」と思う作品のトップ5には入りますね。
 というか「大好きな映画=音楽も大好き」という方式はやっぱりあてはまっているなあ・・・と改めて実感するのでした。
 ラストのセリフもいいですね。つい「ニコッ」としてしまいました!

評価:★★★★☆

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