2008/01/23

「ホーリースモーク」

 あの「ピアノレッスン」の監督でもある、ジェーン・カンピオン監督の監督作。
 出演は(タイタニックのヒロイン役の)ケイト・ウィンスレット、(「ピアノレッスン」にも出演した)ハーヴェイ・カイテルです。

 お話はケイト演じる主人公が旅先のインドで新興宗教にのめりこんでしまうことから始まります。どうにかしてその洗脳を解きたいと願う家族達が、彼女をだましてインドから帰国させ、ハーヴェイ・カイテル演じる洗脳を解く専門家に依頼し、彼女を脱教させようとする。
 半ば強引に周囲から隔離した空間で3日間という条件の中、2人が過ごし、向き合う数日間で、思わぬ展開となっていく・・・というようなお話。

 「ピアノレッスン」「ある貴婦人の肖像」 と同監督の前作2作品のクラシックな雰囲気とは、ガラッと変わり、風刺を込めた現代的なストーリー。
 正直、コミカルでもあり、1クセも2クセもあるそのストーリー展開に、頭の中が?マークになる事もあります。とっても「変化球」な映画。
 けれども見終わった時には、なんだか煙に巻かれたような感覚に陥りつつも、ある種真理をついている感もあり、考えさせられてしまいました。なかなか巧みでもあり、不思議な映画でした。

 2人は、その2人だけの空間と時間で、図らずも自分自身の非常に脆い部分を相手に見抜かれ、強く自覚させられる事となってしまいます。それは自分自身を足元から崩されたような、とても衝撃的な事なのだけれど、それを共有したという事実は、数日間ながらも2人に何らかを残さないはずは、ありませんね。やはり。

 あ、そしてこれは書いておかねばなりません。
 この映画で、ハーヴェイ・カイテルの今まで見た事がないような、情けない(?)姿が見られます。
 ちょっと衝撃的です。

 ジェーン・カンピオンという監督は、「人の弱さ、脆さ」を炙り出すように描く事が多い気がします。
 「ピアノ・レッスン」より後、彼女の監督作品で、「すごく良かった!」と思う映画にはまだ出会えていませんが、彼女の監督作品にはつい期待してしまいます。

評価:★★★☆☆

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